2008-06-27掲載
そもそもなぜリョーシカが
「確率」のシリーズを始めたのか、
そろそろ種明かしをいたしますね。
それは量子(リョーシ)が
確率的な存在だからです。
しかしいったい「確率的な存在」
って何でしょうか?
そこでちょっと思いだしてみましょう。
確率といえば、身近なものの1つが
天気予報の「降水確率」
(第31週参照)
。
しかし実際には、雨は降る/降らないの
どちらかであって、
「確率50%の雨」というものはない。
そんな話が出てきましたよ。
振り返れば、これはつまり、
まさか「確率的な雨」なんてものは
降ったりしませんよ、
そんなものは存在しないんだから──
という話だったわけです。
ところがです。
量子の場合は、その“まさか”なんですよ。
存在そのものが「確率的」。
……というわけで今週も、
ぐぐっと量子に迫ってみたいと思いますよ。
最近ね、ビジネス書に凝ってるんですよ。
ビジネス書ですか。
ええ。
たとえばレストランのコース料理の場合
松竹梅と3つの価格帯があるとすると
どれを選ぶ人が多いと思います?
松竹梅というのは、松が高いほうですよね?
うーん……そこは
ポイントじゃなくてですね、
答えを言っちゃうと、
「竹」の価格帯がはけるそうですよ。
へえー、そうなんですか。
それからね、4枚までのカードを見せて
どれか1枚とってください──と言うと
やはり何枚目かのカードに人気が集中するんです。
1、2、3、4枚目のうち、どれだと思いますか?
それはね、「3」なんです。
ふむふむ。
そういえば、
第32週
で
コイントスをやりましたね。
はい。
あれも実際にやったら同じ面が7つも続いた
ということが起こったんですが、
「ランダムに」表と裏で埋めてください
とお願いして人が作ると、たいがい
なるべく同じ方が続かないようにするんです。
それね、「ランダム」だから、
「バラバラにしなきゃ」って思うんですよ。
そうみたいですね。
ちょっと待てよ……
ところで「ランダム」って何でしたっけ?
ランダムとは、恣意性がなく
本当に乱数的ということです。
「ランダム」って実は、意外と難しいんです。
何かになりやすいという要因も傾向もなく
純粋に確率的な状態というのは
ほとんど作り出すことができません。
乱数を、かなりうまく作り出しても
純粋にはランダムでないことが多いのです。
そこで、量子なら、
ランダムを出せるのではないか
と、期待されています。
え? リョーシが?
なぜですか?
量子の基本的な状態は
「重ね合わせ」状態というものです。
あ、それ思いだしましたよ。
ああでもない、こーでもない
いくぶんかずつ含まれた状態ですね。
はい。ですからもし
雨が降る/降らないの場合なら、
降る/降らないがいくぶんかずつ
含まれた状態にあるのです。
天気予報の場合は明日の天気のことだから
まだわからないだけで、
明日になれば必ずどっちかになる。
そういえば、
柳の下のドジョウ
もそうですね。
いるかもしれないし、いないかもしれないけど、
確認すれば必ずどっちかになる。
そこで、雨が降る/降らないが
50%ずつ含まれた
同じ状態にある量子をたくさん用意して
これを測ってみましょう。
「0」か「1」のどちらの測定結果になるか
というと、これがまさにランダムに
「0」と「1」が混ざって出てくるのです。
うわー……ってことは、
これを順番に並べれば
乱数を生成することができる!
はい。これがまさに
「確率50%の雨」の状態なのです。
ふむふむ。
わたしもだんだん確率にはまってきました。
(つづく)
確率の考え方、
少し慣れてきましたか?
今回はおまけとして、
クイズをひとつ。
これはリョーシカ研究者として赴任していた
オーストラリアの大学で
ティータイムの時間に、
話題に上った問題のひとつ
なのだそうですよ。ではどうぞ──
ボールが3つあります。
このうちの1つが当たりです。
(出題者はどのボールが当たりか知っています)
ひとつとってください。
すると出題者が、
残りの2つのうちの1つについて
「これははずれです」と言います。
残り2つのうち、はずれではないほうと、
あなたの持っているボールとを、
交換してもいいですよ。
そこで、問題です。
交換するのとしないのでは、
どちらが当たる確率が高いでしょうか?
──答えは来週です。
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