2008-6-20掲載
量子と物理の科学コンテンツとして
お届けしている
『週刊リョーシカ!』
さてこのたび、いつもとは別の新連載として
「ほんとうのマトリョーシカ。」を
スタートいたします。
「ほんとうのマトリョーシカ。」は
科学や量子の話ではなくって、
ロシアの民芸品・マトリョーシカを
たっぷり知っていただくコンテンツ。
第1回の記事は
こちら
からどうぞ。
また第2回は7月に公開を予定しています。
というわけで、これを記念して、今週は
「確率5%のマトリョーシカ。」
というテーマでお送りいたしますよ。
ではさっそく、まいりましょう。
あ、リョーシカ、いたいた。
今日ここへ来るときにね、
いつもの駅前にどどーっと人がいまして。
へえー?
様子を見てたら、
マンション入居者の抽選会ですって。
それで朝早くから、
人がいっぱい並んでるんですよ。
先着順でなく抽選ならば、
早く行っても同じですけどね。
は?
そうじゃなくて
当たりがなくなっちゃうから
みんな早くから来てるんですよ。
しかし「残りものには福がある」
とも言いますよ。
リョーシカがことわざを言うなんて!
いい機会だから、ちょっとそれ、
考えてみましょうか。
図のように、マトリョーシカが
大きければ、当たる確率も大。
マトリョーシカが小さければ、
当たる確率も小、という意味だとします。
はい。わかりやすいです。
もし先ほどのマンションの抽選会で
先に行くほど確率が高いならば、
順番待ちしている人たちは
このような確率だということですか?
違うんですか?
なんとなく自信が、ぐらぐら。
正しい確率は、
たとえば100人いて5人当たるのなら
全員5%です。
したがって、抽選会の列には、
確率5%のマトリョーシカが
ずらり並んでいることになります。
うーん、そうかあ。
確かにそうならなければ
抽選が公平じゃないことに
なっちゃいますよね。
だけど……
自分の前に並んでいた人が
最後の当たりを引くってことも
あるじゃないですか。
そうですね。
「たまたま」そうなることもあるでしょう。
それでも全員5%なんです。
同様に、「たまたま」最後の人が
当たりを引き当てるかもしれませんよ。
それにあと3人になって、
あたりがまだ3つも残っていたら?
そういう可能性だってあるのですよ。
でも自分の前で最後の当たりが出ちゃったら
わたしが当たる確率はゼロです。
ああ、はい。
それはもちろん抽選会が
どんどん進行するにつれて
残りの確率も変化します。
しかし、そのように進行しても、
たまたまそれとは別の進行になっても、
あなたがもともと持っている確率は
いずれにしても5%なんです。
そうか。
どういう進行になるかは、
始まってみなきゃわからないもんな~。
その通りです。
ということは、
マンションの抽選会には
ゆっくり行けと。
そうです。当たる確率は同じです。
なあんだ~ そーなのかぁ。
はい。
さてと、今週はこれにて。
ええっ!
(つづく)
ときどき見かけませんか?
○○抽選会というやつ。
誰だって当たりたいから、
そこでいい方法として、確率が平等な
「抽選」というのが、あるわけですね。
ところが頭のどこかで
「早く行かなきゃ」って思っていたりすると
いつの間にか「早く行かなきゃ当たらない」
に変化しちゃったり。
がんばって早く来て、並んだから当たる
なんてはずもないんですけどね。
そういうわけで、抽選会を見たら
5%のマトリョーシカを
ぜひ、思いだしてくださいね。
ではまた来週!
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