2008-07-25掲載
さて今回は、今週火曜日のつづきです。
確率的な現象には「期待値」がある。
というのが、前回の話でした。
これと同様に、
「オドロキの期待値」というものを
考えよう、というのが、
今回のお話です。
たとえば、みんながそれを聞いて
「えっ!」と言って、「なになに」
と耳をそばだてるようなニュースは
ビッグニュースですよね。
これがつまりオドロキが大きいニュース。
そんなオドロキに、
確率的な「期待値」という値が
どうつながってくるのか?
リョーシカがお答えしますよ。
さて今週も 雪ニモ 夏ノ暑サニモ負ケズ
さっそく進んでまいります。
では、どうぞ。
あ、いたいた、リョーシカ。
先週の続きをお願いしますよ。
はい。先週は──
まだ「オドロキ」を
定義していませんでしたね。
オドロキに定義ですか……??
だってそれは、びっくりすることでしょ。
びっくりするなあ。
違うんですか?
ええと、
起こる確率が高い現象には、驚かない。
起こる確率が低い現象には、驚きます。
それは先週やりましたもん。
マグニチュード7の大地震ならびっくり。
だけど浅間山から煙りが出てても
びっくりしませんよ、わたしは。
このような場合にあてはまる
関係というと、
逆数のようなものがぴったりです。
ええと、ええと……
逆数っていうのはつまり
一方が大きくなると
もう一方は小さくなるような関係
──ですよね?
はい。しかしながら、
たとえば「オドロキ」のある事象が
2つある場合などには、
オドロキの量を足せるように
しておきたいので、
足せるような定義にしておきますよ。
ふむふむ。
さて、そこで
先週
の
確率的な事象に対する「期待値」
の話を思いだしてください。
宝くじなら、賞金として戻ってくるお金と
それらの1、2、3等……が当たる確率を掛けて
ぜんぶ足したものが「期待値」でしたね。
「オドロキの期待値」は、
「オドロキ」の量と
その事象が起こる確率を掛けて
ぜんぶ足したものです。
ふむむー。定義と定規は使いようだなあ~。
そうですよ。
では今度は、どんなときに
「オドロキの期待値」が大きくなるのか
考えてみましょう。
たとえば──
赤と青を表示する信号があるとします。
ボタンを押すといつも必ず
「青」が出てくる。
何度押してもいつも「青」。
どうですか?
ぜーんぜん、おどろきません。
そうですよね。
その信号のオドロキの期待値は「0」、
いつも「青」しか出ないのですから。
では、今度はこうしましょう。
「青」が出たら100万円あげます。
「赤」が出たら同じだけくださいね。
さて信号は赤と青が半々に出ますよ。
むむ。そうなると、
こっちも真剣です。
……ってことはつまり、
赤が出ても青が出ても、
わたしはすごく驚きます。
そうですよね。
赤と青が半々に出るというのは
まったくどちらが出るかわからない、
確率が一様に分布していて
最も偏りなく分散した状態です。
このような場合に
「オドロキの期待値」
が高まるわけですね。
そうか、つまり
どっちと出るか、ワクワクって感じ。
そんな感じですね。
シャノンの「情報量」を
「オドロキの期待値」ということで
説明してみたのですよ。
へっ! そーなんだ。
はい。
「情報量」というシャノンの定義は、
すなわちシャノンの
エントロピー
とも呼ばれています。
というわけで、続きは、
来週といたしましょう。
んっ!
(つづく)
「オドロキの期待値」
いかがでしたでしょうか。
オドロキの期待値が大きいということは
情報量が大きいということだし
エントロピー
も大
ということだったんですねえ。
そしてこのような状態は、
確率が一様に分布していて
ランダム(乱雑)さが高い状態である。
──というわけで
いよいよ来週は
このエントロピーに注目しながら
またまた量子の不思議に迫ってみたいと
思っておりますよ。
ますますリョーシカ!な展開を
どうぞおたのしみに。
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