2008-07-04掲載
確率の話、まだまだ続きますよ。
今回はまず、前回の問題の答えから
さっそく始めたいと思います。
こんな問題でしたよ。
──ボールが3つあります。
このうちの1つが当たりです。
(出題者はどのボールが当たりか知っています)
ひとつとってください。
すると出題者が、
あなたがとった残りの2つのうち
1個について
「これははずれです」と言います。
はずれでないほうと、
あなたの持っているボールを、
交換してもいいですよ。
さて、交換するのとしないのでは、
どちらが当たる確率が高いでしょうか?──
さてこの問題、どう思われます?
だいたい、交換したからって
確率が違うものなんでしょうか?
というわけで、
これからさっそく、
答えを見ていきたいと思います。
では、どうぞ。
なんとなくわたしは、
交換したほうが
当たるような気がするんですよ。
ふむふむ。
では持っているボールと残ったボールは
それぞれどのような確率ですか?
ええと、ええと。
どんな確率でしょうかねえ?
まず最初に、3つあるうちの
1つをとりました。
ですから、手に持っているボールが
当たる確率はどうなりますか?
それは、3分の1です。
そうですね。
すると、他のボールはどうなるでしょう?
3分の1なくなったんだから、
残りのボール2つを合わせて、3分の2です。
……ってことは、
やっぱり3分の1ずつだから
交換しても交換しなくても同じ、
ってことになっちゃいます。
ふむふむ。
本当にそうですか?
残ったボールのうちの1つははずれである
というのではありませんでしたか?
そうでした。だからその、
そこをどう考えるか、ですよね?
???
残りの1つがはずれとわかったんだから、
もう1つも、手に持っているボールも、
2分の1ずつ!
……と思うけれども
自分でも、これはなんとなくおかしいです。
はい。
というのは、
こないだのマンションの抽選会の話と
合わないもん。
(第33週を参照)
だから、手に持っているボールが
もともと持っていた確率は、3分の1で、
それはずっと3分の1のままです。
いいですよ。合っています。
よし。ということは、
残りの2つが持っている確率は3分の2で、
そのうち1つの確率がはずれで0になったから、
残りのもう一方の確率は、
「3分の2」全部もらえるから、
3分の2である。
だから交換したほうが当たる確率が高い!
そうです。
手元のボールは3分の1、
もう一方は3分の2ですものね。
おまけのつもりだったのですが、
時間がかかりました。
しかしどうですか? それで合っている
ということが実感できますか?
たぶん、大丈夫だと思います。
このケースでは、交換することで
なんと当たる確率が2倍にもなるんですね。
こういうことは意外と、直感的には
わかりにくいかもしれません。
「確率的な状態」のまま納得するのが
難しいです。
どっちかになっちゃってれば、
わかるんですが……。
それは、そうですね。
しかしその“どちらでもある”のが
量子の「重ね合わせ状態」です。
うーん、「重ね合わせ状態」のほうは
やっぱり、ナゾが深いです。
だんだんわかってきたようですね。
さて、では来週といたしますか。
ええっ!
(つづく)
確率の問題の答え編
いかがでしたか?
ところで2008年6月末より
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併せてご覧ください。
さて、せっかくたくさん
確率をやってきたので
次週は少し統計的なことにも
ふれていこうかと思います。
リョーシカのほうは、
毎週(だいたい)金曜日に更新中。
どうぞおたのしみに!
第31週~
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