2008/05/09掲載
これからの時代、ますます
セキュリティが重要だ
ということはわかるのですが
よく言われるセキュリティの高い低いって
要するにどういうことなんでしょうか。
ひとつには要するに安全か、
安全じゃないかってことですよねえ。
だけど、もし絶対運べなくて
絶対開けられない金庫があったとしたら
確かに絶対安全かもしれないけど、
使おうって時に開かないんじゃ困るよねー
と考えていくと、
ちょっとパラドックスめいてきます。
そこで金言──
便利さとセキュリティはトレードオフ。
セキュリティを犠牲にすれば便利だし、
便利に使いたければセキュリティはそこそこ、
というように、結局、安全と思えるレベルを
人が選び取っているんですよね。
さてそこでAとBという技術があって
Bのほうが「原理的に」セキュリティが
高いですよ、と登場してくるのが
「量子鍵配送」ということになります。
前置きがちょっと長めでしたが、
というわけで今週は、その後半です。
ではさっそく、前回をおさらいします。
なんだか、元気がいいですね。
はい。二人に共通の鍵ができましたと。
図にすると、こんな感じ↓
はい。そこで、
われわれ二人の通信経路に
盗聴者が侵入したとします。
うう、見るからに、怪しげなやつ。
そして「わたし」になりすまして受信し、
量子ビットを測定して
情報を得ようとします。
ところが「測定の向き」がわからないので
仕方がないのでとにかく1つずつ、
どちらかの向きで測定していきます。
ふむふむ。
でも1回測っちゃうと、
リョーシは元には戻らないんですよねー。
一か八かで、全部当たるっていうのも
あり得ないし……。
ええ、その通りです。
盗聴者はこんどは
「リョーシカ」になりすまして、
測定後のキュービットを送信します。
「わたし」が受信すると……
「リョーシカ」が送ったのとは
違う状態のキュービットが
混じってしまっている!
これを図の中に斜線で示しておきますね。
しかし「わたし」は
そんなことは知らないから
「リョーシカ」から来たものと思って
1つずつ測定していきますよ
「測定の向き」が合っていないと
0になるか1になるかは、50%ずつ
という不確かなものになってしまいます。
そして元の状態とは違う
「測定後の」量子状態が
受信者へ送られることになりますね。
続く流れは、
前回
と同じです。
電話回線で二人が測定の向きを教え合い、
合っているものだけを残して
あとは捨ててしまいます。
そして、この後、二人は
鍵の一部分を見せ合って、テストします。
もしこの時に、
二人の鍵に合わないところがあれば
これは怪しい、ということがわかるわけです。
そうか、通信の途中で誰かが
キュービットをいじったぞ
ということがばれちゃうんですね。
で、「共通の鍵」ができたら
どうするんですか?
これを使って、二人の間で
安全な通信を行うことができます。
うーん。
セキュリティってたいへんですねえ。
では、今週はこれにて。
(つづく)
量子の世界は「見ちゃダメ」
というのを、
第15週
で採り上げました。
測定すると状態が変わってしまう。
めんどうな性質だなあ、
と思うけれども、
それをうまく利用することによって
「量子鍵配送」のように
セキュリティの高い通信に活かすことができる。
リョーシと頭は使いようです。
さて、次回の『週刊リョーシカ!』は
また、次の金曜日に、お届けいたしますよ。
どうぞおたのしみに。
第21週~第30週
2008-03-28
2008-04-04
2008-04-11
2008-04-18
2008-04-25
2008/05/02
2008/05/09
2008/05/16
2008/05/23
2008/05/30