
2008/04/25掲載 |
さて今回は、
「キュービット」の第3回目。
前回までの話で──
量子情報処理の基本単位が
「キュービット」である。
キュービットは、重ね合わせ状態にあり
測定すると0か1という値が得られる。
──ということがわかってきました。
ところが、です。
今わかったはずのこの測定結果のなかに
量子ならではのナゾが、
まだまだ、おおありなのだそうです。
……というわけで、
まずは進んでまいりましょうか。
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ちょっと復習しますよ。
1キュービットの量子状態は
0と1がいくぶんかずつ含まれる
「重ね合わせ状態」である。
なのに、測ると0か1になってしまい、
元には戻らない……。
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そうですね。
すると、量子というのは
1回測っただけでは
何も分からないことになります。
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というと?
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キュービットの状態は、
球面上のどこかにあります。
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状態は「ここ」というように
決まっているのですが、
私たちにはそれがどこかは
わからない──というのが
「重ね合わせ状態」です。
そこでたとえば下図のように
たて・よこの測定向きを
東・西・南・北と呼ぶことにしましょう。
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キュービットの状態が「西」で
よこ=東西の向きで測ったら
測定の向きが合っているので
100%「西」という測定値になります。
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ふむふむ。
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ところが状態が「西」にあるときに
たて=南北で測ったら
どうなると思いますか?
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どっちでもない……っていう
「答え」はだめなんでしたっけ。
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だめです。
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うーん、じゃあ
「南」かもしれないし
「北」かもしれない。
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そうです。
つまり北か南かは50%ずつの確率です。
ところが「西」かどうかがわからない時に
1回測っただけでは、
それが100%の西か、50%の西かを
区別することはできないですよね。
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ということは、
何回も測って100%「西」なら「西」。
もし50%だったら測定の向きを変え
何回も測って100%「南」なら「南」。
という具合に
キュービットの状態が判明するんですね。
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はい。
ただし量子はいったん測定を行うと
もうその値へ変化してしまいますので
同じ状態にあるキュービットをいくつも用意して
測定しなければなりません。
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そうでした。
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ところが、測定の向きを変えて測っても
またまた50%だったということも
ないとは限らないのです。
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そんなのありですか?
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これは「混合状態」と呼ばれるもので、
2つの相反する状態が
半々の確率で現れる場合です。
日常的によくある硬貨の裏表を当てる
コイントスとか、あみだくじなども
同じ確率的な現象といえます。
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ふうん。
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では今週はこれにて。
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(つづく)
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なんとなく紅茶が飲みたいなあ
と思っていた時に
「コーヒーにする? それともラテ?」
と聞かれると
とりあえず「コーヒー」と
答えていたりする。
すると、もともとコーヒーを飲みたい
と思っていたような気がしてきたりして。
ありませんか? そんなこと。
相手の質問=測定に応じて
「とりあえずの答え」を返すリョーシも
身近なところで、
案外、似っていたりするんですよね。
さて『週刊リョーシカ!』は
毎週(だいたい)金曜日に更新しています。
来週も、どうぞおたのしみに。
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