2007-12-21掲載
身近な「物」について、改めて
これは何からできているんだろう?
と考える。
それは物理学を考える、
大事な一歩に違いありません。
でもそれが現代物理学の探究につながるには、
最もシンプルに、そしてシビアに
「物」そのものへと
向かわなくてはならないのでしょう。
だけど、そればっかりでもねえ……。
というわけで、今週は、ごくゆるーく、
しかもこんな「物」を採り上げちゃいました
──では、どうぞ。
ちょっと見てくださいよ、
ゲットしてきたんですよ、これ。
あれー。これどうしたんですか?
実は先日、横浜の中華街へ行きましてね。
はい。
売っていたんですよ。
このパンダのマトリョーシカを。
私も実物を見たのは初めてです。
う、うう……
あの、これ開かないのですが。
そうでしょう、そうでしょう。
実は私もね、買ってすぐ、店へ戻って
同じことを言いに行ったんです。
そうしたら……?
なんと中央から横へ折るようにぱかっと
こんな感じで開けるのだそうです。
なるほど。ちょっと違うわけですね。
というか、形もずいぶん違いますものねえ。
中身をどんどん開けてみてください。
それがほらね、なぜか2つ目のマトリョーシカが
ずいぶん小さいんです。
ふむふむ。
他のサイズはぴったり出来ているんですけどね。
でもって、なぜかパンダの鼻が、ハート型。
ふむふむ。これは開けても開けても……
ずいぶんたくさん出てきますよ。
このマトリョーシカは5体組ですから。
最後はおくるみの赤ちゃんの代わりに、
これもたぶん赤ちゃんパンダなんでしょう。
しかしパンダは、
同じ哺乳類の人間と比べても、
とても小さい赤ちゃんが生まれるから、
いちばん大きいマトリョーシカが
母親パンダと考えると、
とてもぴったりしますね。
母親の巨大さが、いいですよね。
……ところで、わたし、いささか
「物」について考え直しましてね。
はい。
マトリョーシカなるものとは、
何も外見の形を指すんではないのだなあと。
ああ、はい。
また3体組でも5体組でも
要するにマトリョーシカっていうのは、
入れ子の構造をしているというところが
マトリョーシカたるゆえんかなと。
たとえばこんなふう……。
そうですね。
より本質的だと思いますよ。
見かけにとらわれていると、
ちょっと違うものが登場したときに、
それを概念に合うようにするには、
いちいち概念を変更しなければなりません。
ですからなるべくいつもより究極なもの、
より本質的にそれを表しているもの、
を考えるようにすることが
物理を考えていく上では大切だと言えますね。
うーん、パンダマトを買ったかいが
あったなあ~。
では来週ということで。
えっ、もう終わり?
(つづく)
「物」そのものの、
しかも、そのどこが本質的なのか、
という見方。
なかなか物理らしくなってきたではありませんか。
「物」といえば、
高い安いといった経済的価値とか、
その物に込められた気持ちとかだったら、
わたしにも大変わかりやすいんですけどね。
さて、来週は2006年最終号になります。
またまたリョーシカ!な展開を
どうぞお楽しみに。
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