2007-12-07掲載
「それでも地球は回っている」
ガリレオの有名なことばですね。
太陽(天)が地球(地)のまわりを回っているのだ、
という「天動説」を多くの人が信じていた時代に、
いや回っているのは地球のほうなんですよ、
と言ったガリレオは、裁判にかけられて、
この有名なことばを残したと言われています。
しかし、これまで正しいとされてきたことが
実は間違っていたんですよ、と言われても、
すぐに頭を切り替えるのは難しい。。。
というのは、経験的にわかるような気も
いたしますが……。
というわけで、今回採り上げるのは「原子」。
原子と言えばお馴染みの「原子の概念図」ですが、
実はあれ、正しくないんですよ──というお話です。
さあて、切り替えの準備は Ready?
Go!
今週はまず
懸案だった原子の概念図
を描いてみましょう。
うわぁ、これが原子なんですかぁ。
うーん、わたしが学校で教わったのと
きっと違いますよ、これは。
ちょっとショックです。
原子の図というと、
中心に原子核があって、
そのまわりを電子が軌道を描いて回っている、
このような図だったんですよね?
そう、これこれ!
ちょうど太陽のまわりを、
地球や火星が軌道を描いて回るように、
原子核のまわりを電子が回っている。
まさに宇宙の縮図!
……と思っていたんですが
どうもそうじゃないんですね。
はい、原子はこうはなっていません。
どうなっているのかというと、
まんなかに原子核があり、そのまわりに
「波であり粒子でもある」電子がある。
出た! 波な粒子!
そうですね。量子といえば“波で粒子”です。
たとえば水素原子は、電子が1つですから、
原子核のまわりに電子が1つあります。
しかしそれは、原子核のまわりに
波として存在しているんです。
軌道じゃなくて、波なんだ。
その通りです。
しかも波は三次元に広がっていますから
ほんとうは立体的なかたちに広がっている。
原子核のまわりに、雲のように……
……しかし、原子なんていうのは
物理学のごく根本的なテーマ
なんじゃないですか?
そうですね。
そもそもリョーシという考え方は
それ以前の物理学の考え方を
大きく変えるものなんです。
なるほどねえ。
確かに、そんな雲行きを感じます。
リョーシ以前の物理学の考え方というのは、
つまりニュートンの物理学です。
19世紀、ニュートンの物理学は成功し、
その総仕上げにマックスウェルが電磁波を説明して
ニュートンの物理学の体系が完成します。
リンゴも木から落ちるという……
万有引力の法則ですね!
ニュートンという巨人はまた、
自分の研究は「巨人の肩にのって」成功した
つまり、それまでの研究のおかげだ
と言ったらしいじゃないですか。
はい。そのニュートン物理学のことを、
私たちはリョーシという考え方に立って、
ふだん「古典物理学」と呼んでいます。
え?「古典」?
古典物理学にのっとったコンピュータは
「古典的コンピュータ」ですし、
一方量子を使ったコンピュータが
「量子コンピュータ」です。
というと……
「古典的コンピュータ」と呼ばれるのは
具体的にはどんなコンピュータですか?
今、私や、あなたや、
みなさんが使っているコンピュータは
ぜんぶ「古典的コンピュータ」です。
ではそろそろ次週ということで。
へっ?
(つづく)
わたしたちの使っているコンピュータが
「古典的コンピュータ」だったとは!
知らない方も多かったことでしょう。
ガリレオが活躍したのは、主に17世紀。
それから18世紀にかけてニュートンが活躍します。
20世紀は科学技術の時代、などと言われますが、
そもそもはニュートンにはじまる古典物理学を基に、
発展していったものなんですね。
そこで、この流れに連なる現代のコンピュータも
量子という視野から見れば、
「古典的」だというわけなのだそうです。
とはいえ、コンピュータを構成するものの中には
半導体をはじめ、すでに量子的な技術が
なくてはならないものになっている
とリョーシカは言います。
量子は未来の技術をどう変えていくのか?
そういった意味でも目が離せないのが
この量子(リョーシ)なわけですね。
さて来週もリョーシカ!な展開を
どうぞお楽しみに。
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