2007-11-16掲載
『週刊リョーシカ!』のテーマは「量子」です。
物理学にパラダイム変換を引き起こし、
21世紀の技術に地殻変動をもたらす──
なんて言われています。
あ、その「量子」ならば、新聞などで
読んだり聞いたりしたことがある、
という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ところがこの「量子」なんですが、
量子の研究者であるリョーシカたちも
そのものを「見たことはない」のだそうです。
この「見たこともない&想像できない」ものを
朝から晩まで考えている、というのが
量子の研究者の仕事らしいです。
……それっていったいどんな毎日なのか、
そっちのほうが想像できないくらいですけどね。
量子の概念図が描けない?
それが、できないんですねえ。
じゃあほら、頭の中にあるイメージを、
かいつまんで教えてくださいよ。
いや、その何しろ誰も見たことないですし。
ダッテ・リョーシカ!
たとえば原子だって、
原子核の回りを電子が回っている
という絵があるじゃないか!
ああいうのでいいんですよ。
概念図があれば、だいたいわかるじゃありませんか。
それがですね、
この原子の図というのも正しくないんです。
なぬー、
量子を描くことが出来ないというのは、
たとえば
スーパーマン
は
ある時は会社員、ある時はスーパーマンで、
同時に両方であることはないですよね?
はい。上半身はスーパーマンでとか、
そういう中途半端なことはあり得ないですね。
そうでしょう!
ちょうど量子もそういう状態なんです。
そして量子の場合、ひとつの物質が
「波」であって、同時に「粒子」でもあるんです!
波な粒子!?
(写真はイメージです)
ちょ、ちょっと待ってくださいよ、
波であり粒子であることって
そんなに問題なんですか?
大問題です。
なぜですか?
ええとですね、物の状態として
基本的なものの一つが波、
もうひとつが粒子だからです。
ツブツブしたものは波のようでないですし。
改めて「波とは何か?」と訊かれると
いまひとつ答えにくいよーな……
じゃあ、どんなものが波かという例を挙げると
音波とか、水面に石を投げると
波紋が広がる様子もそうですし、
地震が海底や地面を伝わってくる、
こういったものはみんな波です。
空気や水や地面に乗って、
波が伝わっているわけです。
ああ、なるほど、それが波でした。
で、これらはほら、
ツブツブしていないでしょう?
お互い相容れない物理的な性質を
代表している、それが波と粒子なんです。
うーん、そうかなあ?
そうです。
でも仮に、仮にですよ、
サッカーのワールドカップの中継などでよく
ウェーブっていうのを見かけますよね。
観客が次々に立ったり座ったりして、
波を打っているように見せかける、あれですよ。
この場合にですね、
観客一人ひとりはツブツブしているから粒子で、
同時にウェーブ(=波)ってことに
ならないのでしょうか?
粒子であって波である状態。
ね、マト・リョーシカ! 出ませんか?
出ません。なぜなら、そのケースでは
観客一人ひとりという「粒子」に乗って、
波が伝わっていきますね。
ところがその一人一人についてはどうでしょうか?
やっぱり粒子であって、波ではないんですよ。
ある物質において、
粒子であると同時に波である状態
──それが量子なんです。
うーん、ダメか。
一人一人が波みたいにゆらゆらしてるわけじゃない。
立ったり座ったりしてるだけですもんね。
その通り。一人一人には波の特徴がありません。
しかし、もし自然界の中に、
「これが波であり粒子です」という具体例があれば、
とっても説明しやすいですよね。
でも残念ながら、誰も見たことがない。
アインシュタインにも、現代の物理学者にも、
およそイメージできないんです。
アインシュタインはそんなこと考えていたんですか。
……ということで、
そろそろ次回といたしましょうか。
ええ、ちょっと、
(つづく)
量子のことや、ややこしい計算式を考えはじめると
リョーシカはみるみる集中していき、
周囲の状況が、耳にも目にも入らなくなります。
それが運悪く道を歩いている時で
車にひかれそうになったこともあるんだそう。
気をつけてほしいものです。。。
さてこのつづきは、また来週。
ひきつづき「波な粒子」を追究していきますよ。
どうぞおたのしみに。
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