2007-11-09掲載
リョーシカは、量子(リョーシ)を研究している
新進気鋭の物理学者である。
さて、小さいものを巡って「アトム(原子)」、
それに「素粒子」まで登場した前回の第2週。
そこで今週はいよいよ「量子」が登場!──
──と言いたいところなんですが、
第1週に出てきた「量子は概念です」
これがいよいよ理解のネックになるんです。
でもリョーシの場合、
そんな時こそ、かえってググッと理解がすすむ、
ビッグ・チャンスなんですよ。
先週は「素粒子」というものが登場しました。
はい。
で、一般的にですね、
「原子」「素粒子」「量子」と出てきたら、
たとえばどっちが大きいのかなとか、
比べてみたくなるじゃないですか。
どちらが大きいか、ですか。
そうですねえ……
まず、すべての物の「素」は何か?
ということで追究されたのが素粒子でした。
ですから、物質の最も小さい単位
を追究していくのが、
素粒子の研究だと言えます。
一方、量子というのは、
物そのものではなく「概念」なんです。
量子は概念だ、ということはですね、
つまりその、現実には存在しないもの
ということになるのでしょうか?
いえ、存在します。もちろん。
具体的に挙げていただくとしたら、
どのようなものになりますか?
そうですねえ、たとえば光の素になるものを
「光子」と呼びますが、この光子とかですね。
あるいは原子などもそうですし……。
まあおよそ、私の生活の中にあるものは
みんなそうなんですよ。
そうしますと……
たとえば原子や光子が、量子なんですか?
ええと……「概念」というのはある考え方であって、
その考え方をいろいろな物に
あてはめて説明することができる、
というような時に便利なものですよね?
個々の事物そのものではなく、
みんなに当てはまるような場合に使うわけです。
ですから、量子という概念は、光子や原子など
いろいろな物のふるまいを理解するのに
有効な考え方だと言えます。
原子や光子は、
量子という考え方でうまく説明できる、と。
そうです。
すると、たとえば光子は素粒子の一つですから、
素粒子もだいたい量子と考えていい
ということでしょうか?
そうですね。でも仮に素粒子の光子を写真に撮れば、
量子が写せたことになるのかというと、
それは光子であって、量子ではありません。
ああ、そうか。
ひとつひとつは具体的な物質であって
それらをとりまとめる考えが「量子」なんですね。
その通りです。
それならば、ひとつ質問です。
量子っていったいどんな「概念」なんですか?
うーん、それをひと言で言うとなると……
どんなに長い文章も、ひと言に要約できます。
たとえば原子なら、原子模型で
そのイメージをつかむことができます。
概念なら、概念図があるじゃないですか。
量子の場合、それはどのようなものに……
あ、それは描けないんです。
なぬー、
そうですね、それは……次回にしましょう。
ええっ!
(つづく)
どこにでもあるのに、
写真に撮れないものなーに?
素粒子のように小さいのに、
素粒子と大きさを比較できないものなーに?
概念なのに、
概念図が描けないものなーに?
なぞなぞの答えがリョーシだ、
というのはわかるんですが。
で、それで何なの? ってとこまでは
なかなかひとっ飛びには、行けません。
というわけで、このナゾは、
次週の『週刊リョーシカ!』へと続きますよ。
来週もどうぞおたのしみに。
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