わたしだけのマトリョーシカ。
第17週:入れ子を完成させよう。
2009-07-17掲載


さて今回で、第11週から作り始めた
ねことリョーシカのコンビ・マトも
いよいよ完成です。

このマトリョーシカは5個組で、これまで
一番大きい「講演中のリョーシカ(ジャグリング)」と
二番目に大きい「リョーシ猫のわたし」
と作ってきたのですが、
今週はいよいよ小さい方の3つを
作ってまいりたいと思います。

最初の二つとの違いは、制作上、
まずサイズが小さいことですね。

このスケールに合わせて、
描き込む密度も若干変えていくほうが
自然な感じがします。
つまり大きいマトは絵柄が細密で、
小さくなるに従って簡略化していく感じ。

それから今度は3つ一度に作ったので、
やや作業の流れもスムーズに
できたように思います。

というわけで、今週も、いくぞ!

段落替え

●マトリョーシカ選びのポイント●

わたし マトリョーシカって、
作る時でも、買おうと思っている時でも
まず何個組でどのくらいの大きさか
というのがポイントかと思うんですよ。

週刊リョーシカSPECIALマト・下絵
5個組の中の小さいほうの3体

リョーシカ そうですね。
私もパリの店先で
壮大な数のマトリョーシカ(非売品)
を見ましたよ。

わたし そうそう。いろんな数のものがありますよね。
それからやはり顔つきや絵付けの雰囲気も
気に入る・気に入らないに影響すると思います。

リョーシカ はい。



わたし でもそれだけではなくて、マトが全体として
どういうストーリーになっているのか、
中から何がでてくるかお楽しみ、というのも
大事な点だと思うんです。

というのも、人間って
それほど多くのことをいっぺんに
記憶できないじゃないですか。

リョーシカ
7まで、という説もありますね。


週刊リョーシカSPECIALマト・絵付け1
緑、白、オレンジの部分を塗りました

わたし ええ。ちなみにマトリョーシカでよくあるのは
3、4、5、7という数のセットです。

するとやはり5で作る世界観、7で作る世界観
というのがあって、たとえば3なら家族観、
5ならチーム観、7ならロールプレイイング
みたいな感じが作りやすそうですよね。

また3個組ならば、7で作った世界観の
ミニチュアというコンセプトもあり得ますし。

逆に10、20といったマトリョーシカは、
豪華な大マト→小へ向かって
簡略化のバリエーションという作り込みのものが
多いような気がします。


●量産と思い入れのトレードオフ●

わたし で、作る側からすると、やはり
同じものをなるべくたくさん作る
というほうが簡単なんですよね。
慣れるし、うまくなるし、失敗も減る。

たくさん作らないにしても、
たとえば5個組のものを作るのならば、
5個をなるべく一気に作ったほうが
効率がいいです。
世界観としてもまとまりやすいし。

この反面、まったくひとつずつ、
自分がベストだと思うものを目指して
思い入れたっぷりに作るのもいい。
そういう作り方もありますよね。

週刊リョーシカSPECIALマト・絵付け2
赤と水色、それから茶色の部分をペイント。
(なぜか髪の毛も塗ってしまった!)


リョーシカ 陶芸などもそうですよね。
手作りのよさもあれば、
工場で作られたもののよさもある。

わたし
ええ。


●マトリョーシカからのメッセージ●

わたし 今回のマトはばらばらで、
まさに思い入れ系のオリジナルマトなんだけど……


リョーシカ
というかテストですよね。


わたし そうそう『週刊リョーシカ!』的テストです。

でもほんとうは、
まず5個組としての世界があって、
その世界観からさらに一歩進んで、
そこにメッセージがある、というのが
マトリョーシカだろうと思うのですよ。

リョーシカ
ふむむ。


わたし 純粋にエンターテインメントとして、
中から何が出てくるか、という
5個の構成の妙ということでもいい。

卵があって、恐竜が生まれて、
ところが中から細菌が……とホラーになったり。

リョーシカ
ホラーですか。


週刊リョーシカSPECIALマト・絵付け3
続いて黄色や茶色などを。


わたし 食物連鎖になったり、進化論になったり、
みたいな使い方もできますよね。


リョーシカ サイエンス・コミュニケーション的な
アイデアですね。

そういえば、再帰的定義といって、
何かを定義するにあたり、
それ自身を定義に含むものを言うのですが
マトリョーシカもそうですね。

週刊リョーシカSPECIALマト・絵付け4
その茶色を使って線を描くと、お顔になってきましたよ。

●マトリョーシカ作りのナゾ●

リョーシカ ところで、これを作ってみて、
一番難しかったのはどこでしたか?


わたし そうですね、最初はやはり
プランを作って下絵を描く
というところが難しかったし、
それから筆で線を描くというのも
依然として難しいんだけれども、
ふりかえると、わたし、案外
ニスがヘタなんですよね、実は。

週刊リョーシカSPECIALマト・ニス1
乾いたら、こんどはニスを塗ります。

リョーシカ
はは。そうかも。


わたし でしょ?
そうそう、それからもうひとつ
どうしてもわからないこともあるんですよ。

それは、絵を描いて、ニスを塗って
完成しますよね。
で、どうやって、
最後にぱかっと二つにわけるのかが、
ナゾなんです。

リョーシカ
実際にはどうやっているんですか?


わたし もうね、パカッと開けちゃってます。
たぶんそれしかないように思います。

ただどうも思い切りが悪いのか、
もしかすると湿度が高くて
十分乾燥していないのか……

リョーシカ
きれいに空きますか?


わたし いや、それがやはり、塗装を厚くしていたりすると、
剥がれが気になります。

しかしあらかじめ刀を入れるのも、
ちょっとリスクなんですよ。

リョーシカ
ふむふむ。

週刊リョーシカSPECIALマト・ニス2
てかっとしてきました。続いて、二度塗りします。

わたし
今後の課題とさせていただきます。

リョーシカ
はい。


わたし というわけで、
『週刊リョーシカ!』スペシャルマトは、
このような5個組になりました。

リョーシカ 一番小さいのは何ですか?
あ、ネコ草?


わたし
そうです、必需品ですよ。

写真右から──
講演中のリョーシカ(ジャグリング)
●リョーシ猫のわたし(魚)
講演中のリョーシカ(紙風船)
●リョーシ猫のわたし(毛布)
●ネコ草

週刊リョーシカSPECIALマト・前
『週刊リョーシカ!』SPECIALマトリョーシカ(まえ)

週刊リョーシカSPECIALマト・後
『週刊リョーシカ!』SPECIALマトリョーシカ(うしろ)

(つづく)



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