2009-07-03掲載
さて、今週は、マトリョーシカを
「塗る」プロセス
の第二回目。
いよいよお顔を描いてまいりましょう。
第12週で「考察」したように、
人の顔を描くのはどうも並大抵じゃなさそう、
というところからネコのマトリョーシカ
にしたのでしたが──
結論から言うと、わたしには
ネコの顔を描くほうが難しかったです。
まあ、
最初に作ったのがネコだったから
一番難しかったのかもしれないですけどね。
それからね、先に言ってしまいますが、
どんなに失敗しても、
できあがった時の感動は、
予想外なほど大きい
です。
自分でも「そんなわけないだろ」と思いますが、
それは本ができあがった時よりも
うれしいくらい。
ひとはそんなところから
"マトリョーシカつくり"
にはまっていく……気がしてなりません。
もし、作り途中の方がいらしたら、
ぜひ、最後まで作ってくださいね。
きっとうれしいから。
というわけで、
今週もさっそく、まいりましょうか。
●プロダクションデザインせよ●
マトリョーシカの絵付け、
塗ってみて、どうでしたか？
うーん。そうですねえ。
やはり難しいやら、手順が悪いやらで、
なかなかたいへんでした。
ほふほふ。
難しい点は、
第14週
にも出てきたように
やはり線を描くことですね。
手順が悪かったところはいっぱいあるのですが、
要するにプロダクションデザインの
流れがきれいにアタマに入っていないと
きれいには仕上がらないですよね、
やっぱり。
プロダクションデザインですか。
うーん、つまり
何の次に何をやる、ってわかっていることが
すごく重要
だと思いました。
そこへさらにクオリティ管理のような
一種の規格を設けると、
やっぱり流れ作業って、効率いいんだろうな、
って、実感としてすごくわかるし。
しかし、一人でやってるんだから……
ま、作業工程ですね。
たとえば、ネコの毛のトラ柄部が
写真のように刷毛の筆先のけばけばした感じを
残した描き方になっていますが、
これも塗り始めてみるまで、
白と茶色をどういう境目にしたらいいか
ノーアイデアだったんです。
そこで結果的には、
なんだか
おかっぱ頭
みたいに
なってしまいました。
そうですね。
なんか人間っぽい顔になりました。
●「顔」から何を読み取ってきたか●
いや、本当はこういう顔なんですよ、
「わたし」は。（下の写真参照）
比べてみるとわかるように、
ぜんぜん違っちゃいました。
というのも、ネコの顔って、
人の顔よりもさらに
「顔とはこういうもの」という
抽象化、図案化のアイデア
が
浮かばないものなんですよ。
つまり、これまで
「ネコの顔とはこういうもの」ということを、
あまり考えたことがなかったようです、
意外にも。
それはやはり、人間には人間の顔のほうが
詳細に認識できるでしょうね。
なにしろいつもそこから、
表情を読み取っている
わけですから。
ええ。
ところで、
プレイモービル
っていう
カラフルなプラスチックでできた、
人形や情景物の玩具があるのをご存知ですか？
レゴよりもちょっとおおぶりな感じで。
そのお人形の顔は兵士であれ、コドモであれ、
お母さんであれ、みんな同じつくりで
つまり、円のカタチをした目と口しかないんです。
ふむふむ。
鼻は描かないし、目も口も
とても簡単な図形で描かれている。
コドモが描いた人の顔の絵を見て、
ほぼ全員が目と口しか描いていない
のに注目して、デザインされたそうですよ。
確かに、そのお人形を見れば、
誰でも人の顔だと思う。
つまりかなり大胆に省略したって
一向に構わないんですよね、ほんとうは。
こういう思い切ったことを、
ネコで独自にやってみたいなあ、
とは思いながら描いたのですが、
そうは問屋が卸しませんでした。
ネコずきんを被っているところなどは
「擬人化」
しているわけですよね。
●小さな改良の積み重ね●
そうそう、ネコでも人にしても
そういった点をどうするのか、
"マトリョーシカつくり"としては、
あらかじめ方針が必要になりますね。
しかしながら第一作の教訓はとにかく
「ネコは意外と手ごわかった」
であります。
で、この5個組のマトリョーシカ、
オール・ネコというのではなくて、
他のサイズでは、人も作ることにしました。
そこで「一気呵成」というだけありまして
第二作は意外にも早くできたんですよ。
じゃじゃーん。
あ、速いですねえ。
これは……かなり、
日本顔のマトリョーシカですね？
はい。題して、
講演中のリョーシカ
であります。
私でしたか。
ジャグリングしているんですね？
ボール1個落としてるじゃん
とかってつっこみは、なしでお願いします。
というより……3個とも落としてませんか？
！
（つづく）
っていう
