量子情報の最先端をつたえる
Interview #023

アンドリュー・グリーンツリー 教授 RMIT大学
公開日:2016/11/15

【3】量子の発見から1世紀を経て

量子が始まってから早くも1世紀!

今、量子技術の最先端で起こっているのは、人類が1世紀かけて理解してきた量子という概念と、実現してきた新しい物理的なリソースを使って、現在の技術でできないことをやろうというチャレンジです。ちなみに、それは自然界からも学ぶことができるのではないか、という観点から、私は量子光合成にも興味を持っています。地球上の植物は、小規模ながら、光から非常に効果的に収穫を得ている……これを私たちは小さな量子コンピュータを使って生命活動を維持していると見ることもできるかもしれません。つまり、われわれが量子情報を理解して作ろうとしている技術を、自然界はすでに使っている─(根本教授が指摘するように)そんなところにこそ、1世紀かけて人類が学んできた量子という知見を活用して、今あるシステムよりもより安い、より完全で、より小さな、新しいシステムが可能なはずです。
(文:アンドリュー・グリーンツリー・池谷瑠絵 写真:河野俊之 翻訳監修:根本香絵)

アンドリュー・グリーンツリー教授 プロフィール

Andrew Greentree オーストラリア RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)教授、Australian Research Council Centre of Excellence for Nanoscale BioPhotonics研究主幹。オーストラリア国立大学(ANU)にて博士号取得、理論物理学者。量子光学、量子情報、ダイアモンドを専門とし、実験チームとのコラボラーションを世界的に推進する。このような活動の中から固体中の量子伝送、光の量子的性質、ダイヤモンドを用いたナノ構造の解明などに関わる重要な成果を挙げている。2010〜2013年、オーストラリア物理学会会員および名誉代表、2012年より英国物理学会フェローを務める。

量子の世界をのぞいてみよう
Welcome to the Quantum World #023

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