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FILE: 007 講演会レポート「わからないを楽しむ」 page2

古典物理学と量子の不思議な世界


根本香絵講演会2008/11
──さて、物理学の「わからない」の代表とも言える量子……。古典と量子の世界観の違いを説明するにあたり、講演ではカラーボールが登場しました。舞台から客席へと飛んでいくカラーボールを見て、私たちは頭の中に軌跡を思い描きます。それがまさに古典的な物理の世界観。一方、量子は、自然界の物質はとびとびの値をとる、という根本的に違う考え方からスタートしますよ──


香絵博士「とびとびの値をとる」というプランクの量子仮説が、1900年に発表されます。この仮説から、さまざまな発見や紆余曲折を経て、1964年にベルの不等式が発見されるまで、実に64年間。なんとこれが、物理学者たちが量子が「わかる」までにかかった時間なのだと考えることができます。

ここからわかることの一つは、新しいことは難しいんだということです。ですから世の中のわからないことも、自分自身の中のわからないことも、物理学の新しい現象と同じように、それが新しいことならばきっと難しいはず。では、いざこういったことに挑戦するには──さてどうしましょうか?

根本香絵講演会2008/11

挑戦するのに必要なのは、良識と想像力です。良識は、知識を学び、思考を鍛え、それらを駆使することで発揮されます。そしてもうひとつ大切なのが想像力。最初は素朴な疑問でいいから、賢くあろうとしないで思いっきり自由に発想すること。想像力に論理的なアプローチが加わることで、新しい世界への手がかりになります。